祭祀(チェサ)について
チェサ(祭祀)というのは韓国の法事のこと。
亡くなった人の陰暦の命日に毎年親族が本家に集まって行います。
その家庭ごとにチェサの回数は異なり、3世代、5世代までのチェサを行うこともあります。
日本では、亡くなった人の法事を1周忌や3回忌以後は歳月を置いて数回しかしませんが、
韓国の儒教では、毎年5世代前まで、なんと年に10回も命日を祭ることになっています。
チェサは在日コリアンの社会でも、今も連綿と続いています。
祖先の命日や正月、お盆などに供え物をそえ、祖先の霊を招いて、再び天に帰ってもらう儀式です。
儒教は、朝鮮王朝の建国理念・統治理念であったと同時に、
冠婚葬祭をはじめとして、両班(ヤンバン=貴族)社会の生活方式と各種の儀式を定めた規範でした。
現代では、儒教的な伝統行事はだいぶ減ってきましたが、
社会的習慣としてしっかり残っているものの代表例が日本の法事にあたる祭祀(チェサ)です。
韓国の儒教の中心となる「親に対する孝行」は、生存中は誠心誠意親の面倒を見ること、
亡くなってからはチェサを通して祭ることをいいます。
つまり、チェサとは親が生きている間にし尽くせなかった親孝行を補うという意味で、
韓国人の精神文化を支える重大な行事なのです。チェサを通じて韓国人は自分のルーツを振り返り、
あわせて祖先のめい福と一家の繁栄を願います。
また、血縁を重要視する韓国人にとって、チェサは同じルーツを持つ親族を束ね、
同族意識を高める役目もあるのです。
チェサは、基本的にすべての子孫が集まり、命日の始まり、
つまり当日の午前零時、夜中に始めます。
参加する者の次の日の予定などは関係無しで、何人かのご先祖さまの分を1回にということもしません。
しかし、最近の在日の社会ではチェサの回数を減らしたり、時間を早めたりする家も多いようです。
チェサのための特別な食べ物を驚くほど大量に用意し、
儀式が終わると親族や隣近所の人々と分け合って食べます。
お供え物の準備のため、長男の嫁をはじめとして女性陣がとくに大忙しのチェサですが、
参加資格は男性だけでした。そのため、女性は準備はしますが、参加はできません。
祖先を敬う韓国で、生きている子孫より亡くなった祖先のほうが上というのは、むしろ当然のことですが、
女性に参加資格すら与えないところに韓国社会の男尊女卑の伝統がうかがわれます
↑であげたようにチェサのときには、嫁たちが一日がかりでチェサウムシク(法事の料理)を作ります。
家庭ごとに料理の内容も作り方もお供え物も異なりますが、
野菜のナムル、チヂミ、鯛、たこ、鶏肉、豚肉、汁物、卵、、
お酒、お菓子、果物数種類、お餅、ご飯、などと一緒に備えます
ちなみにチェサの料理には韓国の代表的な食材であるニンニクと唐辛子は絶対に使ってはいけないのです。。
ニンニクや唐辛子などの刺激が強すぎて祀ってあるご先祖様が逃げてしまうという言い伝えがあります。
料理の並べ方にも決まりがあります。
祭壇の1番奥の方にご飯と汁物が並べられ、
その手前に肉、魚、卵、チヂミなどが並びます。
もうその手前に、ナムルが数品並びます。
もうまたその手前に、果物やお菓子などが並びます。
そして祭壇に向かって「魚東肉西」という法則があり、
つまり右に魚、左に肉といった並べ方になるのです。
このように、チェサは料理の準備や、夜遅くからの集まりは容易にできることではなく、
最近では働く女性の為に一日がかりのチェサの準備を楽に済ませ、
末永く祭祀の伝統を守り続けていくために、祭祀(チェサ)パック宅配便というのもあるようです。
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